当院の名称(一陽会病院)は、大昔の中国の占い本の『易経』にある『一陽来復』という言葉に由来します。『易経』では、全ての現象において、陽の気(=良い運気)が多くなったり少なくなったり、逆に見れば陰の気(=良くない運気)が少なくなったり多くなったりを繰り返しているとされています。「段々と陽の気が少なくなって、ついには陽の気がなくなり陰の気ばかりになりました。でもその後、再び陽の気が復活してきました。これから陽の気がどんどん増えますよ」、これが『一陽来復』です。昔の人は、冬至を境に日が長くなることから、冬至に太陽の力が復活すると考えました。 一陽来復の言葉に「どん底の状態にあっても、再び良いことがめぐってくる」の願いを込め、患者さんやご家族が希望をもてる病院であるよう医療・ケアの質の向上に努めてまいりました。
令和4年7月20日をもって、当院は創立63年を迎える事となりました。平成9年4月に病院改築が行われて新病院となり、その後は順風満帆とまでは行かないまでもマンパワーは充実し、病院全体に活気がみなぎっておりました。しかし、平成23年3月の東日本大震災による原発事故により、多くの医療人が県外に流出し、当院も、その影響で病棟を減らす事となりました。さらに3年前より流行してきた新型コロナウイルスによる病院内でのクラスター発生を防ぐ感染対策の影響で、通院治療に関する病院機能の縮小・低下を余儀なくされてきました。現在は、それらのダメージから回復して活気を取り戻しつつあり、これも一陽来復の由来通りの現象ではないか感じています。
これからも社会医療法人の名に恥じないように、精神科救急医療の一翼を担って行けるように全職員と共に頑張って行きたいと思います。